いりやの備忘録

映画の感想をすぐ忘れる気もするからつらつら書いてみようかなと思いついた。

シェイプオブウォーター

字幕 稲田嵯裕里

92点 素晴らしい世界観の一作。

R15+

 

ざっくり

聞こえるけどしゃべれないイライザは同僚のゼルダと共に航空宇宙局の掃除婦として働く。

そんな中、謎の生物が入ったポッドが運び込まれるのを見てしまう。

米軍から派遣されてきた警備責任者のストリックランドは指を食い千切られたようだが、その水棲生物は意思疎通が取れる彼であった。

一方、水棲生物の主任研究員ホフステトラー博士は共産党のスパイであった。

彼と仲良くなるイライザ、そのことを盗み見るホフステトラー。彼女は何処の国のスパイなのだろう。

ストリックランドとホフステトラー博士は彼の研究方針で対立するが、ストリックランドは米軍のお偉いさん、ホイト将軍からの信頼は厚いのである。彼は解剖されることが決まってしまう。

ホフステトラーは、米国にて技術の向上が確立される前に彼を殺すように命令されるが兼ねてより怪しんでいたイライザがただの掃除婦で、彼と仲良くしているだけであることを確信し、彼を逃がすのに協力する。

彼はイライザの家で雨の日に桟橋の水門が開くのを待つ。

強い雨の降る日ホフステトラーは赤の上官に呼び出される。共産党に対する裏切りは感づかれ、撃たれてしまう。

しかし後をつけていたストリックランド!ホフステトラーの上官を殺し、彼はどこだと問う。

ゼルダの家でゼルダの夫から居場所を掴んだストリックランドは雨の桟橋へ。

イライザと彼は撃たれる、なんとか反撃するも重傷。

水の中で抱き合うところでおわり。

 

かんそう

OPのシーンからファンタジーを思わせる作り。シーンつなぎ、バンクカット、テンポ等アニメーションっぽい手法や古典な構図をいいとこ取りで取り入れて現代のフィルムとして成立させているのには素晴らしいの一言。

舞台設定やキャラクター、こちらも昔の洋画っぽさやアニメチックな面がありつつも、言語障害者、黒人、ゲイのおじいさんなど今風の要素も取り入れているように思う。

また、冒頭のイライザの朝の営みで何の躊躇いもなく、マスターベーションのカットを入れたりするあたりや全編に渡って入ってくる性生活から、生きてる人間ってセックスからは切り離せないものでしょ。と言う強いメッセージ性を感じた。と言うか洋画でマスターベーション珍しいな……。

悪役2人、ホフステトラー博士とストリックランドもそれぞれ悪ではあるのだがこの世界の中で自分の進むべき道を信念を持って進んでいる。

イライザの同僚ゼルダはごくごく普通の良い人である小市民。不満を持ちながらも抗うことなく日々を暮らし、根っからの人の良さでイライザとの友情を築いていた。

ゼルダの夫の振る舞いもあの状況では責められる物ではないだろう。

 

 派手さは無いしストーリーもそれほど特別なことは無いけれど、作り込みとキャラが生き生きとしてる素晴らしい世界の一本だった。

ん?と思ったのはイライザが突然歌いだした所くらいかな……。